Lu Xun Complete Works/zh-ja/Baiguang
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白光
白い光
| 中文(原文) | 日本語(翻訳) |
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【白光】
【第十八篇 明之神魔小说(下)】
《封神传》一百回,今本不题撰人。梁章巨 《浪迹续谈》六 云:“林樾亭 案:名乔荫 先生尝与余谈,《封神传》一书是前明一名宿所撰,意欲与《西游记》、《水浒传》鼎立而三,因偶读《尚书·武成篇》‘唯尔有神尚克相予’语,衍成此传。其封神事则隐据《六韬》 《旧唐书》《礼仪志》引 《阴谋》 《太平御览》引 《史记·封禅书》、《唐书·礼仪志》各书,铺张俶诡,非尽无本也。”然名宿之名未言。日本藏明刻本,乃题许仲琳编 《内阁文库图书第二部汉书目录》 ,今未见其序,无以确定为何时作,但张无咎作《平妖传》序,已及《封神》,是殆成于隆庆万历间 十六世纪后半 矣。书之开篇诗有云“商、周演义古今传”,似志在于演史,而侈谈神怪,什九虚造,实不过假商、周之争,自写幻想,较《水浒》固失之架空,方《西游》又逊其雄肆,故迄今未有以鼎足视之者也。
《史记》《封禅书》云:“八神将,太公以来作之。”《六韬》《金匮》中亦间记太公神术;妲己为狐精,则见于唐李瀚《蒙求》注,是商、周神异之谈,由来旧矣。然“封神”亦明代巷语,见《真武传》,不必定本于《尚书》。《封神传》即始自受辛进香女娲宫,题诗黩神,神因命三妖惑纣以助周。第二至三十回则杂叙商纣暴虐,子牙隐显,西伯脱祸,武成反商,以成殷、周交战之局。此后多说战争,神佛错出,助周者为阐教即道释,助殷者为截教。截教不知所谓,钱静方 《小说丛考》上 以为《周书》《克殷篇》有云:“武王遂征四方,凡憝国九十有九国,馘魔亿有十万七千七百七十有九,俘人三亿万有二百三十。” 案:此文在《世俘篇》,钱偶误记 魔与人分别言之,作者遂由此生发为截教。然“摩罗”梵语,周代未翻,《世俘篇》之魔字又或作磨,当是误字,所未详也。其战各逞道术,互有死伤,而截教终败。于是以纣王自焚,周武入殷,子牙归国封神,武王分封列国终。封国以报功臣,封神以妥功鬼,而人神之死,则委之于劫数。其间时出佛名,偶说名教,混合三教,略如《西游》,然其根柢,则方士之见而已。在诸战事中,惟截教之通天教主设万仙阵,阐教群仙合破之,为最烈:
话说老子与元始冲入万仙阵内,将通天教主裹住。金灵圣母被三大士围在当中,……用玉如意招架三大士多时,不觉把顶上金冠落在尘埃,将头发散了。这圣母披发大战,正战之间,遇着燃灯道人,祭起定海珠打来,正中顶门。可怜!正是:
封神正位为星首,北阙香烟万载存。
燃灯将定海珠把金灵圣母打死。广成子祭起诛仙剑,赤精子祭起戮仙剑,道行天尊祭起陷仙剑,玉鼎真人祭起绝仙剑,数道黑气冲空,将万仙阵罩住。凡封神台上有名者,就如砍瓜切菜一般,俱遭杀戮。子牙祭起打神鞭,任意施为。万仙阵中,又被杨任用五火扇扇起烈火千丈,黑烟迷空。……哪吒现三首八臂往来冲突。……通天教主见万仙受此屠戮,心中大怒,急呼曰:“长耳定光仙快取六魂幡来!”定光仙因见接引道人白莲裹体,舍利现光;又见十二代弟子玄都门人俱有璎络金灯,光华罩体,知道他们出身清正,截教毕竟差讹。他将六魂幡收起,轻轻的走出万仙阵,径往芦蓬下隐匿。正是:
根深原是西方客,躲在芦蓬献宝幡。
话说通天教主……无心恋战,……欲要退后,又恐教下门人笑话,只得勉强相持。又被老子打了一拐,通天教主着了急,祭起紫电锤来打老子。老子笑曰:“此物怎能近我?”只见顶上现出玲珑宝塔;此锤焉能下来?……只见二十八宿星官已杀得看看殆尽;止邱引见势不好了,借土遁就走。被陆压看见,惟恐追不及,急纵至空中,将葫芦揭开,放出一道白光,上有一物飞出;陆压打一躬,命“宝贝转身”,可怜邱引,头已落地。……且说接引道人在万仙阵内将乾坤袋打开,尽收那三千红气之客。有缘往极乐之乡者,俱收入此袋内。準提同孔雀明王在阵中现二十四头,十八只手,执定璎络、伞盖、花贯、鱼肠、金弓、银戟、白钺、幡、幢,加持神杵、宝锉、银瓶等物,来战通天教主。通天教主看见準提,顿起三昧真火,大骂曰:“好泼道!焉敢欺吾太甚,又来搅吾此阵也!”纵奎牛冲来,仗剑直取,準提将七宝妙树架开。正是:
西方极乐无穷法,俱是莲花一化身。 第八十四回 |
【白光】
陳士成が県試の合格者名簿を見終えて家に帰った時には、もう午後であった。出かけたのは本当は早かったが、名簿を見るやいなや、まず「陳」の字を探した。陳の字も少なくはなく、みな我先にと彼の目に飛び込んでくるようだったが、それに続く二文字は一つとして「士成」ではなかった。そこで改めて十二枚の名簿の丸い図の中を隅から隅まで捜したが、見る者はすっかりいなくなり、陳士成はとうとう名簿の上に自分を見つけられず、ただ試院の照壁の前に立ち尽くしていた。 涼しい風がそよそよと斑白の短い髪を吹いていたが、初冬の太陽はまだ穏やかに彼を照らしていた。しかし彼は太陽に照らされて頭がくらくらしたようで、顔色はいっそう灰白になり、疲労で赤く腫れた両目から、奇妙な閃光を放っていた。この時、彼はとうに壁の名簿など見えてはおらず、ただ多くの真っ黒な丸い輪が目の前をふわふわと漂い歩いているのが見えるだけだった。 秀才に及第し、省に上って郷試を受け、一気に連捷して……紳士たちが千方百計で縁を結びに来て、人々もみな神仏を見るかのように畏���し、以前の軽薄と迷いを深く悔い……自分のぼろ屋に間借りしている他姓の者を追い出す——追い出すまでもなく、向こうから引っ越すだろう——屋敷はすっかり新しくなり、門口には旗竿と扁額が……清高を気取るなら京官になればよいが、さもなくば外放を謀った方がよい……。彼が日頃整えていた前途の設計は、この時またしても湿気った砂糖の塔のように、たちまち崩れ落ちて、一山の破片だけが残った。彼は知らず知らず、散漫になった体を回転させ、ぼんやりと帰路についた。 自分の部屋の入口に着いたばかりの時、七人の塾生が一斉に喉を開き、甲高い声で本を読み始めた。彼はぎくりとして、耳元で磬が一つ打たれたようだった。七つの頭が小さな辮子を下げて目の前でゆらゆら揺れ、部屋中に揺れ、黒い丸が混じって踊っていた。彼が腰を下ろすと、彼らは晩の課題を差し出したが、顔にはみな彼を見下す表情が浮かんでいた。 「帰りなさい。」彼はしばらく躊躇してから、悲痛にこう言った。 彼らはいい加減に書物をまとめて鞄に挟み、一目散に走っていった。 陳士成にはまだ多くの小さな頭が黒い丸と交じって目の前で踊っているのが見えた。時に雑然とし、時に異様な陣形を組んだが、次第に減り、朧ろになっていった。 「今回もまた駄目だった!」 彼はぎくりとして跳び起きた。まさに耳元で聞こえた言葉だったが、振り返っても誰もいなかった。また磬がブーンと打たれたように聞こえ、自分の口も言った。 「今回もまた駄目だった!」 彼はふと片手を挙げ、指を折って数えた。十一、十三回、今年を合わせると十六回。一人として文章のわかる試験官がいなかったとは。有眼無珠とは哀れなことだ。すると思わずへへへと笑いが漏れた。しかし彼は憤然として、いきなり書包の布の下から清書した八股文と試帖詩を抜き出し、持って外に出ようとした。ところが部屋の入口に近づく���、目に映るものすべてが明るく輝き、鶏の一群まで自分を嘲笑しているようだった。胸がどきどきと狂ったように打ち、中に引っ込むほかなかった。 彼はまた腰を下ろした。目は格別に閃いた。多くのものが見えたが、とてもぼんやりしていた——崩れ落ちた砂糖の塔のような前途が目の前に横たわっていた。この前途はまた果てしなく広がるばかりで、彼の一切の道を塞いでいた。 よその家の炊煙はとうに消え、碗箸も洗い終わったが、陳士成はまだ飯を炊こうとしなかった。ここに間借りしている他姓の者たちは古い仕来りを知っていた。県試のある年に、発表後のあの目つきを見たら、早々と戸を閉めて関わらない方がよいのだ。まず人声が絶え、続いて次々と灯が消え、ただ月だけが、寒い夜の空にゆっくりと姿を現した。 空は碧く澄んで海の一片のようで、少しばかり浮雲があり、まるで誰かが粉筆を筆洗いの中で洗ったように揺らいでいた。月が陳士成に向かって冷たい光の波を注いだ。最初は新しく磨いた鉄の鏡に過ぎないように思えたが、この鏡は怪しく彼の全身を透かし照らし、彼の体に鉄の月の影を映し出した。 彼はまだ部屋の外の中庭を徘徊していた。目はだいぶ澄んできて、四方も静かだった。しかしこの静寂がふと故なく騒がしくなり、耳元に確かに急いた低い声が聞こえた。 「左に曲がり右に曲がり……」 彼はぞっとして、耳を澄ますと、その声は音量を上げて繰り返した。 「右に曲がれ!」 思い出した。この中庭は、彼の家がまだこれほど零落していなかった頃、夏の夜ごとに祖母と涼んだ中庭だった。あの頃、彼はまだ十歳少々の子供で、竹の寝台に横になると、祖母が寝台の傍に座って、面白い話をしてくれた。祖母は自分の祖母から聞いたと言った。陳家の祖先は大富豪で、この屋敷がそもそもの基であり、祖先は無数の銀子を埋めた。福のある子孫がきっと手に入れるだろうが、今に至るまでまだ見つかっていない。場所は、一つの謎かけの中に隠されていると。 「左に曲がり右に曲がり、前に進み後ろに退き、金を量り銀を量り升には論わず。」 この謎かけに対して、陳士成は普段から密かに揣測を加えていたが、惜しいことに大抵、通じたと思った途端にまた合わないとわかるのだった。一度は確信を持って、唐家に貸している部屋の下だとわかったが、掘りに行く勇気はとうとうなかった。しばらくすると、やはりあまりに見当違いだと思い直した。自分の部屋のいくつかの掘った古い痕については、あれはみな以前何度か落第した後の気が動転した時の所業で、後で自分で見ても恥ずかしく人に知られたくなかった。 しかし今夜、鉄の光が陳士成を覆い、またそっと彼を説得した。彼が時に躊躇すれば、真面目な証拠を示し、さらに陰鬱な催促を加えて、彼を自分の部屋の方へ目を向けさせずにはおかなかった。 白い光が白い団扇のように、揺れ動きながら彼の部屋に閃いた。 「やはりここだったか!」 彼はそう言って、獅子のように急いでその部屋に入っていったが、跨ぎ入った途端、白光の姿は消えてしまい、ただ茫漠とした古い部屋と、いくつかの壊れた机が薄暗がりに沈んでいるだけだった。彼は呆然と立ち、ゆっくりともう一度目を凝らすと、白光が再びはっきりと現れた。今度はもっと広く、硫黄の火よりも白く清浄で、朝霧よりも幽かで、しかも東の壁に近い机の下にあった。 陳士成は獅子のように扉の陰に走り、手を伸ばして鍬を探り、黒い影にぶつかった。何故かいくらか怖くなり、慌てて灯を点けてみると、鍬はただ立てかけてあるだけだった。机を動かし、一気に四枚の大きな方磚を掘り起こし、しゃがんで見ると、いつもの通り黄色く光る細かい砂で、袖をまくって砂を掻き分けると、下の黒い土が現れた。彼はひどく慎重に、静かに、一鍬一鍬掘り下げたが、深夜はやはりあまりに静かで、鉄の先が土に当たる音は、鈍く重く、人を欺こうとしない音を立てた。 穴は二尺余りの深さになったが、甕の口は見えない。陳士成が焦り始めた時、パキンと鋭い音がして、手首がかなり痛むほどに震えた。鍬の先が何か硬いものに当たったのだ。急いで鍬を放り出し、手探りで見ると、一枚の大きな方磚が下にあった。胸がひどく震え、精神を集中してその方磚を掘り出すと、下はやはり前と同じ黒い土だった。たくさんの土を掻き崩したが、下はまだ果てしないようだった。しかし突然また硬い小さなものに触れた。丸い、おそらく一枚の錆びた銅銭だろう。他にも砕けた磁器の破片がいくつかあった。 陳士成の心は虚しくなったように感じられた。全身から汗が流れ、焦って掻きむしった。そのうちに、心が空中でぶるっと震え、またも奇妙な小さなものに触れた。おおよそ馬の蹄鉄のような形で、触ると松脆だった。彼はまた精神を集中してそのものを掘り出し、慎重につまんで、灯の光の下で仔細に見ると、そのものは斑々と剥落して腐った骨のようで、上にはまだ一列の零れ落ちた歯が付いていた。彼はこれが下顎の骨だと悟ったが、その下顎骨は彼の手の中でガタガタと動き出し、にやにやと笑いの影を浮かべ、ついに口を開いて言うのが聞こえた。 「今回もまた駄目だった!」 彼はぞっとして大いに冷え、同時に手を放した。下顎骨はふわりと穴の底に戻り、まもなく彼も中庭に逃げ出していた。部屋の中を窺い見ると、灯火はあんなにも煌々と輝き、下顎骨はあんなにも嘲笑しており、異常に恐ろしくて、もうそちらを見る勇気がなかった。彼は遠くの軒下の陰に隠れ、いくらか安心を感じたが、この安心の中で、ふと耳元にまた密やかな低い声が聞こえた。 「ここにはない……山に行け……」 陳士成は昼間通りでも誰かがこんなことを言うのを聞いたような気がした。最後まで聞くまでもなく、もう恍然と悟った。彼は突然天を仰いだ。月はもう西高峰の方に隠れかけていたが、遙か城から三十五里の西高峰は目の前にあった。朝笏のように黒々と聳え立ち、周囲には浩大にして閃く白い光を放っていた。 しかもこの白光は、また遥か前方にあった。 「そうだ、山に行くのだ!」 彼は決心し、凄惨な様子で飛び出していった。何度か戸を開ける音がした後、家の中はもう一切の物音がしなくなった。灯火は大きな灯花を結んで空の部屋と穴を照らし、パチパチと数回はぜた後、次第に小さくなり、ついに消えた。残った油がすっかり燃え尽きたのだ。 「門を開けてくれえ——」 大いなる希望を含んだ、恐怖の、悲痛な声が、遊糸のように西関門前の黎明の中で、戦き慄きながら叫んだ。 翌日の昼頃、西門から十五里の万流湖に浮いた屍体を見た者がいた。すぐに噂が広まり、ついに地保の耳にまで届いて、田舎の者に引き揚げさせた。それは男の屍体で、五十歳余り、「中背で白い顔、髭なし」で、全身に衣服もなかった。これが陳士成だろうと言う者もいた。しかし隣人は見に行くのも面倒がり、遺族の引き取りもなかったので、県の検視委員の検分の後、地保が担いで埋めた。死因については、もちろん問題なかった。死体の衣服を剥ぎ取るのはよくあることで、殺害を疑うには至らない。しかも仵作も、生前の入水だと証明した。確かに水の中でもがいたのだから、十本の指の爪にはみな河底の泥がびっしりと詰まっていたのだ。 (一九二二年六月。) 【第十八篇 明の神魔小説(下)】 『封神伝』百回、今本は撰者を題さず。梁章鉅(『浪迹続談』六)に云う、「林樾亭(案ずるに、名は喬蔭)先生嘗て余と談ず��『封神伝』一書は前明の一名宿の撰する所にして、意は『西遊記』・『水滸伝』と鼎立して三たらんと欲し、偶たま『尚書』「武成篇」の『唯だ爾に神あり尚お能く予を相けよ』の語を読み、衍べて此の伝を成す。其の封神の事は則ち隠かに『六韜』(『旧唐書』「礼儀志」引く)『陰謀』(『太平御覧』引く)『史記』「封禅書」・『唐書』「礼儀志」各書に拠り、鋪張俶詭なるも、尽く本なきにはあらざるなり」と。然れども名宿の名は未だ言わず。日本に蔵する明の刻本は、乃ち許仲琳編と題す(『内閣文庫図書第二部漢書目録』)。今其の序を見ざれば、何時の作なるかを確定する無し。但し張無咎の『平妖伝』の序を作するに、已に『封神』に及べば、是れ殆ど隆慶万暦の間(十六世紀後半)に成れるならん。書の開篇の詩に「商周の演義古今に伝わる」と云えるは、志は史を演ずるにあるが如くなるも、而して神怪を侈談し、什に九は虚造にして、実は商周の争いを仮りて、自ら幻想を写すに過ぎず。『水滸』に較ぶれば固より架空に失し、『西遊』に方ぶれば又た其の雄肆に遜る。故に今に迄るまで未だ以て鼎足と視す者なきなり。 『史記』「封禅書」に云う、「八神将は太公以来之を作す」と。『六韜』「金匱」中にも亦た間ま太公の神術を記す。妲己の狐精たるは、則ち唐の李瀚の『蒙求』注に見ゆ。是れ商周の神異の談は、由来旧し。然れども「封神」も亦た明代の巷語にして、『真武伝』に見ゆれば、必ずしも『尚書』に本づくにはあらず。『封神伝』は即ち受辛の女媧宮に進香し、詩を題して神を黷すに始まり、神は因りて三妖に命じて紂を惑わし以て周を助けしむ。第二至第三十回は則ち雑えて商紂の暴虐、子牙の隠顕、西伯の禍を脱する、武成の商に反く等を叙べ、以て殷周交戦の局を成す。此の後は多く戦争を説き、神仏錯出す。周を助くる者は闡教、即ち道釈なり。殷を助くる者は截教。截教は何を謂うか知らず。銭静方(『小説叢考』上)以て謂う、『周書』「克殷篇」に云う、「武王遂に四方を征す。凡そ憝国九十有九国、魔を馘ること億有十万七千七百七十有九、人を俘にすること三億万有二百三十」(案ずるに、此の文は「世俘篇」に在り、銭は偶たま誤記せり)と。魔と人を分別して之を言えば、作者遂に此より生発して截教と為す、と。然れども「摩羅」は梵語にして、周代には未だ翻せず。「世俘篇」の魔字は又た或いは磨に作り、当に是れ誤字なるべきも、未だ詳らかならざる所なり。其の戦いは各おの道術を逞しくし、互いに死傷あり、而して截教は終に敗る。是に於いて紂王の自焚、周武の殷に入る、子牙の帰国して封神する、武王の列国を分封するを以て終わる。封国は以て功臣に報い、封神は以て功鬼を妥め、而して人神の死は、則ち之を劫数に委ぬ。其の間、時に仏名を出し、偶たま名教を説き、三教を混合すること、略ぼ『西���』の如くなるも、然れども其の根柢は、則ち方士の見のみ。諸戦事の中に於いて、惟だ截教の通天教主の万仙陣を設け、闡教の群仙合して之を破る、最も烈たり。 話説く、老子と元始が万仙陣内に衝入し、通天教主を裹む。金霊聖母は三大士に囲まれ当中に在り、……玉如意を用いて三大士を久しく招架するも、覚えず頂上の金冠を塵埃に落とし、頭髪を散ず。此の聖母、髪を披いて大いに戦う。正に戦いの間に、燃灯道人に遇い、定海珠を祭って打ち来たり、正に頂門に中る。可憐なるかな!正に是れ、 封神正位して星首と為り、北闕の香煙万載に存す。 燃灯、定海珠を将って金霊聖母を打ち殺す。広成子は誅仙剣を祭り、赤精子は戮仙剣を祭り、道行天尊は陷仙剣を祭り、玉鼎真人は絶仙剣を祭る。数道の黒気空に衝き、万仙陣を罩う。凡そ封神台上に名ある者は、瓜を砍り菜を切る如く、倶に殺戮に遭う。子牙、打神鞭を祭りて、意の任ずるままに施す。万仙陣中に、又た楊任の五火扇を用いて烈火千丈を扇ぎ起こし、黒煙空に迷う。……哪吒は三首八臂を現して往来衝突す。……通天教主は万仙の此の屠戮を受くるを見て、心中大いに怒り、急ぎ呼びて曰く、「長耳定光仙、速やかに六魂幡を取り来たれ!」定光仙は接引道人の白蓮もて体を裹み、舎利光を現じ、又た十二代弟子と玄都門人の倶に瓔珞金灯あり、光華もて体を罩うを見て、彼らの出身の清正なるを知り、截教は畢竟差讹なりと知る。彼は六魂幡を収め、軽々と万仙陣を出で、径ちに蘆蓬の下に往きて隱匿す。正に是れ、 根深くして原は是れ西方の客、蘆蓬に躲れて宝幡を献ず。 話説く、通天教主……戦いに恋う心なく、……退かんと欲するも、又た教下の門人の笑話を恐れ、只だ勉強して相持つを得るのみ。又た老子に一拐を打たれ、通天教主急を着け、紫電錘を祭りて老子を打たんとす。老子笑いて曰く、「此の物何ぞ能く我に近づかん?」只だ頂上に玲瓏宝塔の現ずるを見る。此の錘焉んぞ能く下り来たらん?……只だ二十八宿の星官の已に殺され看看殆ど尽くるを見る。邱引は勢の好からざるを見て、土遁を借りて走る。陸圧に看破せられ、追い及ばざるを恐れ、急ぎ空中に縦び至り、葫蘆を揭き開き、一道の白光を放てば、上に一物の飛び出ずるあり。陸圧一躬を打ちて、「宝貝よ転身せよ」と命ずれば、可憐なる邱引、頭已に地に落つ。……且つ説く、接引道人は万仙陣内にて乾坤袋を打ち開き、尽く彼の三千の紅気の客を収む。縁ありて極楽の郷に往く者は、倶に此の袋内に収む。準提は孔雀明王と共に陣中に二十四頭、十八手を現じ、瓔珞・傘蓋・花貫・魚腸・金弓・銀戟・白鉞・幡・幢、加持神杵・宝鑢・銀瓶等の物を執りて、通天教主と戦う。通天教主は準提を看て、頓に三昧真火を起こし、大いに罵りて曰く、「好い潑道め!焉んぞ敢えて吾を欺くこと太甚にして、又た来たりて吾の此の陣を搅すか!」奎牛を縦いて衝き来たり、剣を仗りて直取す。準提は七宝妙樹を将って架き開く。正に是れ、 西方極楽は無窮の法、倶に是れ蓮花の一化身。(第八十四回) |